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仔犬のすてっぷ

第24章 仔犬達のワルツ2 潤 VS 屈強な大男


 翳した右手が、さらに激しく燃え上がり潤の頭を握りつぶすつもりの清にも、その炎の熱がハッキリ伝わった。


「おっ…オマエ、それ、あぶな・・・」

 危険を感じ取った清は、手を離して逃げる事を選択したが自分の鎖でアースを取り、固定されている事が逆にそれを邪魔する形になり、その場から逃げる事が出来ない。


「ばああぁくれえぇつ!ブゥウレェェイィブゥ・フィンガアアァーーーーッ!!」


 開放されたが脚に踏ん張りが利かせられない潤は、倒れるのを承知で体重を前へ移動させ、無理やり身体を前に進ませる。
 燃え盛る炎を纏った右手が、清の胸元にしっかり届き……それを逃さず潤は、大声で最後のキーワードを叫んだ。


 サンドグローブの中にある、特殊な配合で調合された金属粉と、それを化学反応させる液体の薬剤が、音声入力により段階を踏んでグローブの中で反応を起こす。
 一段回目は可燃性ガスを発生させる液体を投入。拳表面に炎をまとわせる。
基本的にコレは見た目のインパクト重視だが、拳を振り抜けば威力は低くても格闘ゲームのように炎を飛ばす事が出来る。

 二段目は、違う薬剤を加えてより可燃性が強いガスを発生させる。それにより殴れば炎が相手に纏わり付き、拳と炎のダブルダメージを敵に与える事も出来るようになる。

 三段目…グローブ内の薬剤を一気に投入し、爆発的な炎を発生させる。炎の威力が上がり、燃焼力が上がるが短時間の時間しか維持は出来ない。

 そして、最後の四段階目は、金属粉と今までに投入した薬剤に反応し、爆発する薬剤が加えられる。
……文字通り、真っ赤に燃えた鉄粉が爆発により四散し飛び散りながら、全てを巻き込み…消し飛ばす。




「・・・熱く燃えてッ、爆発してッ、消ぇし飛べぇ〜〜…ッ!
ヒイィィィートォ……エェーンドォッ!!!」



ーー まさに、今・・・潤は最後のキーワードを叫んだのだ。




ズッ…ドオオォ……ン!!!




二人は激しい爆発に巻き込まれ、炎の中に飲み込まれた・・・。



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