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仔犬のすてっぷ

第27章 仔犬達のラストワルツ 蒼空VSトーマス



 二人をスタンガンで感電させ、戦闘不能にしたところでアキラは動きを止め、膝から崩れ落ちた。


「……アキラ、大丈夫か?!おい!」

そのまま倒れ込みそうになるのを、駆け寄った蒼空に肩を受け止められたアキラは


「……蒼空…さっきのは・・・痛かった…ぞ……」

と言うと、がくっと頭を項垂れ、また気を失った。


「悪かった、アキラ……だが、お前のお陰で霧夜は動けなくなったぜ?」

 スタンガンにより麻痺状態にある霧夜に駆け寄ったトーマスは、何処から取り出したのか…ロープで彼が動け無いように縛り上げていた。


「き……さ…ま、な…ぜ……?」
「…そりゃ、オマエ、賞金首が目の前にへばって倒れてりゃ、捕まえない賞金稼ぎは居ねえだろ?いやあ、棚ぼた、たなぼた♪」

「トーマ〜ス☆やりやあしたなあ♪これでぜぜこががっぽがっぽだがね〜〜♬」

 そこへ遅れて合流したサラが、スキップしながら現れて早くも換金の話を始めていた。


「……いや、それ捕まえたのはアキラだろ?アンタら、ズルするのは良くねえだろ?」

 二人が腰に両手をかけ、上を見上げながらHAHAHAHAと英語で高笑いする横から蒼空が呆れ顔でツッコミを入れた。

「大丈夫ダイジョウブ〜☆ちゃあんと分け前は弾みますよ〜☆」

 サラが何処から出したのか、日の丸柄の扇子で自分をはたはたと扇ぎながらご機嫌で話す。

「そ…それは…お、俺も…もらえる……んだろうな…?」

痺れて身体の動かせない森川がサラに更にツッコミを入れると、サラは笑うのを止めて何やら指折りしながら計算をはじめたが


「大丈夫だがね〜☆ワシらにまっかせなさ〜い☆」

…と、再び胸を張って嬉しげな声を上げる。



「………じゃあ、そのお金は皆で山分けね?サラさん?」

不意に出入り口の方から甘い香りのしそうな声が聞こえてきて、その場にいた全員がそちらへ視線を向けた。



「・・・お、オーナー……」



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