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仔犬のすてっぷ

第36章 36章 これから先は・・・


「・・・来ねぇな……」

 刑事さんに連れられてパトカーに乗り込んでも、トーマスさんは現れない。
てっきり迎えに来るとばかり思っていたから、ちょっと拍子抜けだ。


「こんなところ霧矢に襲われたら・・・」

 アイツは人の眼を見つめることでその人間を操ることが出来る。
パトカーを運転しているのが、いくら屈強なお巡りさんだったとしても、そのことを知らなければ防ぐことは難しく…最悪、パトカーに乗った状態のまま運転手のお巡りさんが操られたりしたら、僕らは逃げる術が無い。
 パトカーを事故するようにお巡りさんが操られてしまったら、僕ら二人はお巡りさんと運命を共にすることになってしまう。


「まずいな・・・俺達の能力じゃあ車から脱出するのは……」
「君達?さっきから何の話をしているのかな?」


 不意に運転しているお巡りさんが焦る僕らに話しかけてきた。
…話、聞かれちゃった…かな?


「君達は我々日本警察が守るんだ。安心してソコに座っているだけで君達の命は保証される。何の心配もいらないさ」

…この様子だと霧矢がどうやって脱走したのか聞かされてはいないんだろうな…。
普通の犯人とかが相手ならその言葉に甘えていられるのだろうけど。


「あの…お巡りさん。すみませんけどちょっと寄って欲しいところがあるんですけど…」

 こういう時のお約束。
なんでも無いことをお願いして車を停めてもらい、何気なく、逃げる。
テレビの刑事ドラマでよくやってるやつだね。

通用する…かな?(汗)


「…まさか、とは思うけど、ドラマみたいにこっそり抜け出そう…って考えてたりなんかするんじゃないか?」

ぎく。

ば、バレてる…(ま、そりゃそうかもだけど)


「そおんなに我々が信用できないかねぇ…ったく、最近のガキどもっていうのはどうして…」

…口調が少し変わった…。
これは…簡単にはいかない……かな?


「年配者の云うことが聞けんのかねぇ?」

そう言うと、運転していたお巡りさんが帽子を外してこちらに顔を見せた。



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