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仔犬のすてっぷ

第36章 36章 これから先は・・・


「…で?これからどうするつもりなんだ、おっさん。まさか俺達とドライブしたいために変装した訳じゃないよな?」

 霧矢を捕まえて元の場所へ帰ることが目的のこの人が、奴の脱走の連絡とともに僕らの前に現れたのだから……当然、ただのドライブな訳が無い。



「・・・そのことなんだが……お前達、俺達の世界へ来る気は無いか?」

・・・・・え?
おれたちの、せかい??

……それって……。


「こちらの世界で奴らと対峙しても、事が大きくなってしまうと色々と面倒でなぁ…向こうならいくら暴れても警察云々とかは気にしなくて済むし…」


 向こうの、世界・・・。

ここではあって、ここではないトコロ・・・。


女性の僕がいて、殺されてしまった、世界。



「ちゃんと生きてさえいれば、時間軸に合わせた跳躍でこの時間軸に帰ってくることが出来る。
…まあ、こちらの世界と比べて色々荒れ果てているし、安全な場所ではない事も確かだが、少なくとも他の人間達を巻き込む危険性は無くなる」


・・・・・。

そんな事を言われてしまったら…
たしかに、僕は他人を巻き込むことはもうしたくないんだけど…。
 選択肢は、行くか、行かないかの2つしか、無い訳で・・・。


「俺が何か来てくれた場合の礼が出来ればいいんだが…俺にはそんないいもんはないから、無償での話になってしまうかもしれない。
こちらの都合だけでの話になってしまうのも事実だ・・・
…そして、
どうするかを考える時間も残されちゃいない。恐らく向こうはすぐにでもお前を手に入れて、こちらの世界でのいざこざを増やさないようにするためにすぐにでも行動を起こしてくるだろう」


・・・こんな…こんなことになるなんて…。

僕は、どうしたらいいんだろう?


蒼空は、僕の目を見てただ黙っていた。
きっと、僕の出す結論を待ってくれているんだ。





「・・・ぼ、僕は・・・」

そこで今思うところを口に出そうとした時だった。

携帯電話がけたたましくコールしてきたんだ。



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