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仔犬のすてっぷ

第37章 仔犬のすてっぷ


「・・・今日のところはこのくらいにしておくさ…また会おう、優希」

「おいそれの逃がすと思うのか?!お前の音速を捉えることくらい……」
「音速だと思ってるから、勝てないんだよ、おっさん」

 暗闇の中めがけて突っ込んだトーマスを簡単に躱したのか…ビルの中に差し込む明るい月明かりのもとに現れたのは蒼い色のスーツとマント、それにシルクハットに白いお面をつけた、絵に描いたような怪盗のような姿をした男だった。



「「あ…悪趣味っ!」」


「こらこら…聞こえてんぞ、キミ達」


 ふわりと瓦礫の壁の上に降り立った蒼色の怪盗は、高らかに笑うとそのまま音もなく消え去ってしまった。



「な…なんだったんだ?ありゃあ??あれが、敵の親玉だっていうのか??」

緊張感から開放された蒼空がへたり込むように地べたに座り込むと、僕と同じ感想をこぼした。



「ああ・・・そうだ。アレが敵の首領。
ブラック・スター・・・という恥ずかしい名前を惜しみもなく使ってる大馬鹿野郎さ」

頭をがりがりっと掻きながら、トーマスは大きなため息を付きながら悪態をついた。




ぶらっく・すたー……。




友達にはなりたくない。
甘い誘惑に乗らなくて、良かった…(汗)




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