
仔犬のすてっぷ
第2章 出会い
「ちっ…みっともねえ……だがっ!」
彼はめげずに再びマウントを取ろうと、さらに一歩、グイッと近付いて来た。
「今度こそ……ぜん……あ、あれ??」
近づくその勢いのまま、彼の体がクラッ…と傾いて。
「ちょ…え?な、なに………」
僕の両肩を掴むように彼が倒れ込んできた。
とっさのことで条件反射的に抱き止めたが、彼は重い。
その上、近すぎて、彼の脇を掴みきれない。
さらに、床はフローリングで滑りやすい。
……結果、ズルズルと彼の体は僕の体をすべるように崩れ落ち・・・
「ちょ…つ!何処に手をか…わああ?!」
ヤツの手が、片方僕のズボンのゴムに引っかかり、ズボンがズルリと下げられてしまうカタチに・・・。
「あ゛…と、とらんくすぅ……?」
ぐぎょろろろろろぉっ!!
彼自信、ようやく僕をオトコだと判別出来る物を確認出来たようだが・・・
同時に、ものスゴイ音が辺りに鳴り響いた。
いまのって……な、なんだ?!
「はら・・・へった………」
「…は?はい???」
つまり、今の轟音は、腹の虫かいっ?!
ズボンを下げられた怒りと、焦り、そしてバカみたいな腹の虫の音に呆れて……。
「キミね……実は馬鹿だろ?」
僕は吐き捨てるように呟いた。
