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この夏、君に溺れた

第2章 設定と現実

駅の近くにあると言った先生の家は、本当に歩いて10分ぐらいの場所にあった。

マンションが何棟か建っている中の、一番南にある物。

現在無職の先生が、何故こんなに立地のいい物件を持っているのか、気になって仕方がなかった。


「お前は婚活中のOLか!?」

先生からは明確な答えは、引き出せなかった。

後は自分で考えるしかない。


もしかして、実家がお金持ち?

若しくは女性に貢がせているとか?


「何、考えているんだよ。早く家の中に入れ。」

玄関で立ち止まっている私に、先生は呆れ顔で自分の家の中へと誘導。

そこは2LDKの小さな部屋で、リビングにはたくさんの紙が置いてあった。

「適当にそこら辺に座って。」

先生は歩く度に、その紙切れを拾い集めた。

そんなに大切な物なのか。

私は先生が拾いそこねた紙切れを、一枚だけ掴んだ。


「原稿用紙!?」

振り向いた先生は、私の手の中にある紙切れを、勢いよく奪った。

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