蜜と獄 〜甘く壊して〜
第2章 【快楽主義の射精術】
「リ、リリカちゃぁ…ん」
「あ、すみません、一人ではしゃいじゃって…こういうのあまりお好きではなかったですか?」
「違うよ〜!グッと堪えてるんだ、抱き締めたいの…めちゃくちゃ嬉しいよ、あんな些細な会話でも覚えててくれて」
「あ、トシユキさん、フーって消して頂けます?」
慌てて吹き消してくれて改めて「おめでとうございます」とお祝い出来ました。
照明をつけて隣にまた座る。
「甘いのお好きでしたか?すみません、あまりよく知らないのにお誕生日と言えばケーキは外せないなと思って昨日作っちゃいました」
「えっ!?これリリカちゃんが作ったの!?」
「はい」
「お店かと思った!凄いね!」
「あ、でも私パティシエールではありませんのでお味はプロには及ばないかと」
フォークですくって一口食べさせる。
「美味しい!いや、凄い!お店の味だよ、本当そのレベル」
お菓子作りは別に苦ではないのでひと通り器具やオーブンも揃ってる。
太客さまの誕生日は何気ない会話でリサーチ済みなのだ。
その日に来てくれなければ後日祝う事も。
全部インプットしている。
「ついてます」と口元を親指で拭ってあげる。
ドキッとさせて見つめ合って。
その指舐めてあげたら……?
今度は指で生クリームすくって口に運んであげたら……?
「美味しい」
「まだ残ってる……舐めて?」
指を口の中で回転させて舐めさせる。
ヤバいね……これ。
段々とエロい顔になる。
何度も追加して舐めさせて指を増やして。
「もう……本当にこれ以上は……本気で好きになっちゃうから…っ」
夢なんだと自分を言い聞かせて戒める。
とても臆病なお客様は火の粉が飛び移る前に自分の身を守る。
当然の事だ。
厄介なのは、それを見越して更に夢を与えようとする策士であるキャスト側。
「光栄です……仮面被ってるのにそう言ってもらえて」
「仮面してても中身ダダ漏れじゃないか、とても心の綺麗な女性だよ、リリカちゃんは。お願いだから誰にも素顔明かさないでね?」
「………はい、わかりました」