蜜と獄 〜甘く壊して〜
第3章 【秘密裏な罠と罰】
「そうだな、格好悪くてダサいけど…最後まで足掻くよ、紗衣に関しては」
「最後まで格好良く居てくださいよ……どうして私なんかに構うんですか……トップに立たせるって言ったじゃないですか」
「ああ、立たせるよ…俺の一番近くでてっぺん取れ……けど触れられねぇのは俺が耐えれそうにない」
私の中で何かが音を立てて崩れた。
欲しくて欲しくてたまらない瞳が覚醒させる。
咄嗟に動いた身体は……心はもう意思に反している。
胸ぐらを掴みベットに押し倒して乗り上げる。
驚いて見上げる顔が一瞬にして和らいだ。
何もかも見透かされているの…?
「私がどんな思いで一線引いたと思ってるんですか…!それからどんな思いで仕事したと……思って…」
認められたかった、認めて欲しかった。
必要とされたかった。
居場所が欲しかった。
生きる糧が欲しかった。
それは恋愛ではないと思っていたの。
愛はいつか滅びるから。
それに縋り付いて頂点に立つのは違うって思ってた。
封印したかった。
集中したかった。
違う誰かでその場しのぎ満たされれば良いと言い聞かせてた。
優しさなど要らない。
孤独な方ががむしゃらになれた。
なのにこの人は………頑丈に閉めたはずの扉を簡単にこじ開けて乱してくる。
「抱きたい……毎晩でも……もう良いだろ?紗衣が欲しくて欲しくてたまらねぇんだ…」
「バカ……バカバカ…マネージャー失格だよ」
何発かパンチして溢れる涙を拭った。
最悪だ……これじゃ自分も認めたようなものだ。
「もっとドシっと構えててよ……」
「ごめん……無理だ」
そう言って上体を起こしてくる。
向かい合うけど目見れない。
合わせてなんかやらない。
俯いたまま何度もパンチする。
「不甲斐なくてごめん……俺、やっぱ紗衣が好きだわ、もう誤魔化し効かねぇんだよ」
パンチする手を握られ腰から引き寄せられる。
疼き始めている身体にバスローブ越しに当たるのはキツい。
「紗衣………もう限界、抱いて良い?」
これ以上ないってほどの甘い声。
わかってる……もう私の負けな事くらい。
でも認めてしまえば歯止め効かなくなるよ。
今此処で追い出さなかった事を後悔する日が来る…?