
【リレー小説】ルイーダの酒場
第26章 夕べはお楽しみでしたね
みんなそれぞれベッドに横になるが、テヘペロは扉の前から動かなかった。
「どうした、テヘペロ」
「うがうが」
「え? 光邦と同じ部屋だとまたお尻を狙われるから外で寝るって?」
ムトとレミファはベッドの上でゴロゴロする光邦を見て「確かにやりかねないな」と思った。
「仕方ない、もうひとつ部屋を取るか」
なるべく贅沢はしたくないが、テヘペロのためだ。
「え? この部屋あたしだけで使っていいのぉ? うふふ、じゃあ他の男を連れ込めるわね」
やっぱりやる気満々だった光邦を見て、三人はゾッとした。ムトは今男じゃなくて良かったと心の底から思った。
その夜――隣の光邦の部屋から、光邦じゃない誰かの、苦しそうで切なそうで悲しそうな声が聴こえてくる。
その声を聞いたムト達は、ふと思い出してしまった。
村の入り口で、「ここは名もない、山のふもとの村さ!」と、元気よく答えていた若くてイケメンの青年と、全く同じ声だということを。
そして、青年を見た時の光邦の目付きが、ギラリと光ったことも。
ムト達は、思い出したことをなかったことにし、どうかあの青年ではありませんようにと祈りながら、身を寄せあって、耳栓をして、無理矢理眠りについた。
「どうした、テヘペロ」
「うがうが」
「え? 光邦と同じ部屋だとまたお尻を狙われるから外で寝るって?」
ムトとレミファはベッドの上でゴロゴロする光邦を見て「確かにやりかねないな」と思った。
「仕方ない、もうひとつ部屋を取るか」
なるべく贅沢はしたくないが、テヘペロのためだ。
「え? この部屋あたしだけで使っていいのぉ? うふふ、じゃあ他の男を連れ込めるわね」
やっぱりやる気満々だった光邦を見て、三人はゾッとした。ムトは今男じゃなくて良かったと心の底から思った。
その夜――隣の光邦の部屋から、光邦じゃない誰かの、苦しそうで切なそうで悲しそうな声が聴こえてくる。
その声を聞いたムト達は、ふと思い出してしまった。
村の入り口で、「ここは名もない、山のふもとの村さ!」と、元気よく答えていた若くてイケメンの青年と、全く同じ声だということを。
そして、青年を見た時の光邦の目付きが、ギラリと光ったことも。
ムト達は、思い出したことをなかったことにし、どうかあの青年ではありませんようにと祈りながら、身を寄せあって、耳栓をして、無理矢理眠りについた。
