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妄りな昼下がり(仮)

第8章 子宮の中へ。

雪がキッチンで、シチューを作っている。
すると、美味そうな匂いやなぁと成が駆け寄って来て、キッチンのダイニングテーブルの椅子に座る。
それから、ほどなくして、5歳くらいの男の子とも女の子とも言える容姿の子供が駆け寄って来て、小さな身体で椅子に座った。

成が愛しそうにその子の頭を撫でている。子供の顔は雪のような丸顔で成のような困り眉をして、糸みたいに細い目をしていた。
オカッパ頭の似合う、美人ではないが愛嬌のある顔出ちだった。

雪が、シチューを皿に注ぐ、

「温かいうちに食べよう」

と雪が3皿分テーブルの上に置くと、子供は言った。

「私、お母さんの作ったシチューが一番好き!」

と、3人で食べるシチューは本当に本当に美味しくて、雪は幸せを噛み締めた。成も今までに無いくらい穏やかな顔をしていた。

そこで雪は夢から覚めた。今何時なんだろうか?成はまだ寝ているんだろうか?雪はぼんやりと考えた。
背中越しに成が泣いているような気がして、成の白髪まみれの頭を雪は撫でた。

モソモソと布団から出て、肌寒い雪は膝かけを背中にかけてカーテンを開けて、窓から外の空を見た。
もう昼下がりでは無い。だいぶ昼寝してしまったようだ。

空は紅蓮に染まっていた。どこかで鳥の鳴き声がした。
空気は冷たいがもうすぐで冬は終わろうとしていた。




妄りな昼下がり。 完

今まで読んでくださった方、ありがとうございました。

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