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🌹密会🌹

第12章 🌹March🌹(終章)-3




「その指輪は...どうするつもりなんですか...?」


結局、彼の魂を揺さぶるような言葉が何一つ見つからない自分に絶望感を抱きながら、彼の大きな手の中に収まった指輪が気がかりでならない美月はそう問いかけた。



「処分する。質屋に売って換金すれば、多少の娯楽費にはなるだろうが、お前は私の好意を無下にするような女ではないだろう。お前の手元に残ってしまえば、ただの足枷となる。ならばこの手で捨てた方が良いだろう。」






処分...。



あんな綺麗に光り輝いていた指輪が



ただの...ゴミ...?



美月は目の前が真っ暗になっていく。



「やめて...そんな事しないで。」



ショックで唇が戦慄き、声が震えた。
彼女の声に一瞬足を止めた日比谷教頭だったが、すぐさま彼女に背を向けたまま出ていこうと、ドアノブに手をかけた。


彼が出て行ってしまう。


私を一人置きざりにして


出て行ってしまう。



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