
ほしとたいようの診察室
第5章 プリンを作ろう
倒れてもなお、ぐるぐる回る視界に、目を閉じるしか無かった。
陽太先生の柔軟剤の匂いが、わたしに近づく。
助かった……。一瞬でそんな気持ちにさせる匂いがする。
「のんちゃん、聞こえる? 手握れるかな」
「ち……ちから……」
……入らない。
陽太先生の手が温かくて、さらにほっとしてしまう。
陽太先生の手が、わたしの首や顔に触れる。
「熱いな。熱中症かな……大河さん、氷とかなんか冷やせるものあります?」
「あるよ、用意するね!」
冷たい……気持ちいい……。
すぐに首や脇に冷たいものがあたる。
数人、看護師さんやお医者さんが集まって来ていたみたいだった。
「すみません、ストレッチャーお願いします。あとこの子、外来で診てる子なので。吹田先生と大海先生、呼び出しできたらお願いします」
テキパキと、陽太先生が指示を出す声がする。
