
ほしとたいようの診察室
第5章 プリンを作ろう
「でもさ、失望した先生が、あんな風に覗きに来るかね」
蒼音くんが病室の入口に目をやっていた。
同じように、入口を見ると……
「うぁ、お、大海せんせ……!」
反射で布団を引っ張りあげて、中へ潜りこんだ。顔を隠す。
まともに、大海先生の顔が見られない。
「うわってなんだよ〜、そんな隠れようとしないで。
お疲れ様、ありがとう、蒼音くん」
凹んだような声を出す大海先生は、いつもと同じ雰囲気だった。
「いえいえ! お疲れ様です、大海先生。 じゃ、のんちゃん、ちゃんとご飯食べて元気だしてね」
え……蒼音くん、行っちゃう……。
入れ替わるように、大海先生が病室に入ってきた。
蒼音くんが出ていってしまったことが心細い。
