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ほしとたいようの診察室

第8章 入院生活は続く







……ガイシュツキョカ……、外出、許可……?!





吹田先生が言った言葉を理解するのには、たっぷり10秒はかかった。
思いがけない一言を理解した瞬間に、喜びで椅子から飛び上がる。


「え!! 外でて良いんですか?!」



ガチャン、と椅子が勢いよく跳ねた。

吹田先生が活きが良い魚でも見るかのようにわたしを見る。

わたしのはしゃぎぶりに、少し呆れているようだった。



「うん。のんちゃん。落ち着いて。まあ、久しぶりの入院でストレスも溜まっただろうし。若者は遊んでなんぼでしょ。遊んできな」




しっしっ、と手で追い払うように吹田先生は言う。

何しようかな、どこ行こうかな……。

すでにそんな思いが頭をぐるぐると巡る。

ニヤニヤしていると、吹田先生は人差し指を突き立てて、わたしの目の前に出した。



「ただし、ひとつ、条件付き。」




真面目なその顔に、ガタガタとはしゃいでいた気持ちが萎んでいく。




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