テキストサイズ

シャイニーストッキング

第8章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一

 214 『愁い、憂い』の瞳

 だから慌ててしまい、あのワンコールに繫がった…

 そんな事を、いや、そんなきよっぺの心情の落胆さを、そして絶望感を想像し、思い、考えると、ザワザワとした罪悪感が湧き起こってきてしまう。

 ゆかり…
 律子…
 美冴…
 きよっぺ…
 そしてノン…
 と、この僅か約三週間という短い期間中にこの五人の彼女達の間をフラフラと泳いでいる様な、不惑で軽い私と、彼女達の思いの重さは全く、いや、歴然とした違いがあるのだ。

 そしてそれを心の隅ではあるのだが、なんとなく理解をしているからこそ、そんなきよっぺの動揺を実感してしまい、このザワザワとした罪悪感が生まれてしまったのであろう…
 
「ごめん…」
 私はそれらを想い、思わず謝ってしまう。

「えっ、何でこっぺが謝るのよ…
 ごめんはわたしよ…」
 きよっぺの大きな瞳が濡れていた。

 それは果たして欲情からなのか…
 それとも不惑な想いからなのか…
 はたまた絶望からなのか…
 この罪悪感を感じてしまっている今の私には計り知れない。

 だが確実に伝わってくるのは、今夜のきよっぺの絶望感と焦燥感…

 そしてそれは、この先…

 いつ、また、逢えるのか…

 いつ、また、抱いてもらえるのか…

 そんな不惑な不安感であり、それがきよっぺ特有の『愁い、憂い』として伝わってくるのである。

「ねぇ、してあげるよ…
 だからさぁ、してあげるから…」
 きよっぺは私の股間に触れながら、濡れた大きな瞳を向けて、そう囁いてきた。

 そう…
 そんな『愁い、憂い』の濡れた瞳を私に向けて…





ストーリーメニュー

TOPTOPへ