
シャイニーストッキング
第9章 絡まるストッキング8 部長佐々木ゆかり
220 沈黙
「え…」
ドキドキドキドキ…
ま、まさか…
だが、そのまさかであった…
「部長すいません、書類を部長室に忘れてきちゃってぇ…」
杉山くんは頭を掻きながらそう言ってきたのである。
えっ…
なに…
「え……し、書類を……」
わたしはその言葉を聞いた瞬間に、カラダから力が抜けてしまった。
ズッコケるとは正にこういうことを云うのであろう…
そうよね…
まさかの杉山くんにそんな事を一瞬でも想い浮かべたわたしがバカだったのよね…
思わず自虐してしまう。
「す、すいません…」
「はい、はい、取りに戻ればいいんでしょう」
少し呆れ気味にそう言った。
今まで会社のあるビルの目の前のビストロで飲んでいたのである、取りに戻らない理由もない…
本当に一瞬でも、あんな映画のワンシーンを想像してしまったわたしが悪いのだ。
この杉山くんに限っては、ある筈がないんだ…
そう想いながらわたしは目の前の20階建てのビルを見上げる。
既に午後9時を過ぎた時間、ましてやお盆休みという大型連休の真っ最中であるのだ、我がコールセンター部のある15階のフロアしか灯りが点いていなかった。
「うん、じゃあ、取りに行こうか」
「本当にすいませんす…」
再び杉山くんは頭を掻きながらそう謝ってくる。
部長室の鍵は、今、現在は本部長とわたししか持っていないのである…
仕方がないし、仕事の事でもあるから。
そしてわたし達はエレベーターに乗る。
「…………」
「…………」
すると、なぜか、エレベーター内ではお互いに黙ってしまう。
そしてわたしが前に立ち、杉山くんが後ろに、おそらくはエレベーターの壁に寄り掛かっていると思われた。
エレベーターのモーターの静な音が微かに聞こえてきていた…
そして、なぜかお互いの沈黙が妙に重く意識されてくる。
え…
杉山くんが後ろからわたしを見つめているのか…
いやいや、考え過ぎだろう…
「…………」
「…………」
だが、背中が、いや、背中からなんとなく熱い視線を感じてくる。
まさか…
ドキドキドキドキ…
少し胸が高鳴ってきていた。
チン…
するとそんな沈黙の想いを破るかのようなエレベーターの到着音が、この重い空気を破ってくれた。
「え…」
ドキドキドキドキ…
ま、まさか…
だが、そのまさかであった…
「部長すいません、書類を部長室に忘れてきちゃってぇ…」
杉山くんは頭を掻きながらそう言ってきたのである。
えっ…
なに…
「え……し、書類を……」
わたしはその言葉を聞いた瞬間に、カラダから力が抜けてしまった。
ズッコケるとは正にこういうことを云うのであろう…
そうよね…
まさかの杉山くんにそんな事を一瞬でも想い浮かべたわたしがバカだったのよね…
思わず自虐してしまう。
「す、すいません…」
「はい、はい、取りに戻ればいいんでしょう」
少し呆れ気味にそう言った。
今まで会社のあるビルの目の前のビストロで飲んでいたのである、取りに戻らない理由もない…
本当に一瞬でも、あんな映画のワンシーンを想像してしまったわたしが悪いのだ。
この杉山くんに限っては、ある筈がないんだ…
そう想いながらわたしは目の前の20階建てのビルを見上げる。
既に午後9時を過ぎた時間、ましてやお盆休みという大型連休の真っ最中であるのだ、我がコールセンター部のある15階のフロアしか灯りが点いていなかった。
「うん、じゃあ、取りに行こうか」
「本当にすいませんす…」
再び杉山くんは頭を掻きながらそう謝ってくる。
部長室の鍵は、今、現在は本部長とわたししか持っていないのである…
仕方がないし、仕事の事でもあるから。
そしてわたし達はエレベーターに乗る。
「…………」
「…………」
すると、なぜか、エレベーター内ではお互いに黙ってしまう。
そしてわたしが前に立ち、杉山くんが後ろに、おそらくはエレベーターの壁に寄り掛かっていると思われた。
エレベーターのモーターの静な音が微かに聞こえてきていた…
そして、なぜかお互いの沈黙が妙に重く意識されてくる。
え…
杉山くんが後ろからわたしを見つめているのか…
いやいや、考え過ぎだろう…
「…………」
「…………」
だが、背中が、いや、背中からなんとなく熱い視線を感じてくる。
まさか…
ドキドキドキドキ…
少し胸が高鳴ってきていた。
チン…
するとそんな沈黙の想いを破るかのようなエレベーターの到着音が、この重い空気を破ってくれた。
