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シャイニーストッキング

第10章 絡まるストッキング9      美冴とゆかり

 204 ビアンな夜(106)

 そうか…

 ストッキングラブ…

 そういう事なのか…

 だが、わたしはそんなみさえの話しを聞いていて、もうひとつ想い浮かんだ事があった…

 それは…

 破れ、綻び、伝線したストッキングはもう…

 捨てるしか無いのであると…

 まさに、今のわたしの立場に当てはまるのである。

 つまり…

『新規事業計画』として、今までにない、画期的な新しい保険会社をお盆休み明けから立ち上げるのであるのだが…

 それは、まさに…

「成功して当たり前」
 そしてその見返りも十分にあるのだが…

「失敗したら…」
 簡単にクビを切られ、捨てられてしまう…
 そして、新しいストッキングを買えば補充はできるのだ…

 まさにストッキングそのものじゃないか…

 いや、伝線ストッキングの末路と同じではないのか…
 と、わたしはみさえの話しを聞いて、そう思っていたのである。

 そう…

 本当に、わたし達は…

 いや、わたしはストッキングと同じなのかもしれない…

 できればずっと…

 煌めくストッキングで在り続けていたい…

「ゆかりだって…
 彼に沢山愛されてるんでしょう?」
 すると、そんなわたしの思考を、想いを、破ってくるみさえの声が聞こえてきた。

 あっ…
 ハッと我に返る。

「え…、あ、うん…」

「でしょう、彼もストッキングフェチみたいだもんねぇ、それも重い…」

 やはりみさえにはバレていた…

「ゆかりには悪いけど、あのわたしの脚を見てくる目ですぐに分かったわぁ…」

「う、うん…」

 わたしはその彼のフェチな目というモノで、生まれて初めて『嫉妬心』という想いの感情を自覚したのだ…

「だからさぁ、ゆかりもわたしと同類なのよ…」

「え…」

 同類って?…

「同じ『ストッキングラブ』の女…」

「ス、ストッキングラブ…」

「うん…
 ゆかりだってストッキングには特別な想い、想い入れがあり、快感も感じている…
 それになにより見られる快感を理解しているわ…」

「……」

「その見られる快感…
 それがストッキングの質感や、艶、光沢感への拘りとなり、そして自ら穿いてその美しさを自覚している…」

「え、あ、ま、まぁ…」
 
 それはそうに違いはない…

 まず穿いて、鏡を見て…
 


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