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シャイニーストッキング

第12章 もつれるストッキング1   松下律子

 20 外線からの…

「あ、そうだ、ところで、今日の午後一番で、お台場のテレビ局に行くからね」

「あ、はい」

「お父様大丈夫なんでしょう?」

「はい、大丈夫っす」

 そう、そもそもはこの杉山くんの父親からの、いや、お台場のテレビ局の報道局長である杉山くんの父親からの仕事依頼であるのだ…

 そしてお盆休み明けの今日…
 具体的な金額を含む決定の話しがある筈の予定なのだ。

 わたしは…
 この『新規プロジェクト』と…
『新規業務案件』の二つを同時進行していかなくてはならない。

「じゃあさ、10時半出発でお昼も食べよう」

「は、はい」

「あ、そうだ、鈴木くんも連れていくから、段取りお願いね」

「はい、了解っす」

 無事に問題なく契約が締結されたならば、わたしは少し引いて、この杉山くんと鈴木くんの二人に任せて進めていこう…
 わたしはそう考えていた。

 じゃないと…
 とてもじゃないが、パンクしちゃうから。

 そしてわたしは踵を返し…
『新規プロジェクト準備室』へと戻る。

 すると…

「あ、佐々木部長ぉ…
 大原常務から電話が入ってまぁす」
 と、越前屋さんが言ってきた。

「えっ、大原常務から?」

「はい、外線1番ですぅ」

 なんだろうか?…

 あ、携帯電話をデスクの上に置きっ放しだったわ…

 でも外線からだから、仕事の話しだわ…

 わたしは受話器を取り、外線1番のボタンを押した。

「もしも、佐々木です…」
 
 外線での電話なんて久しぶりだ…





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