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　8　魅惑のギャップ差

「そうか、じゃあ、飯でもいくか…」
「やったぁ…」
　本当に嬉しそうな顔で喜ぶのだ。

　そう、この顔、この笑顔だ、本当に可愛くなった…
　少し胸が昂ぶってくる。

「何にしようかなぁ…」

　昔は、ちょうどこの私のコールセンター部に課長として異動してきた時の頃は、昼間、つまりは仕事中には、例え二人だけでも笑う事など殆どなかったのだ。
　また、私もそんな凜とした態度に、キリッとしたやや冷たく感じる雰囲気と、この美しいきつめな顔にゾクッと魅力を感じ、魅了されたものであった。
　そして夜に見せる魅惑の表情とのギャップ差に魅せられたモノであったのだ。
　だが、今のこの可愛い笑顔はそれ以上にゆかりの魅力を更に魅きたたせてくるのである。
　私はそんな可愛いく変わってきているゆかりの顔を眺めながら、そう考えていたのであった。

「ええ、イヤだわ、何、わたしの顔をボーっと見てるんですかぁ…」
「あっ、いや、なんか可愛いなぁってさ…」
　つい本音を言ってしまう。

「もぉ、からかうのはやめてくださいよぉ」
　ゆかりは恥ずかしそうに言ってきた。

「ああ…、それより何を食うんだ…」
「ええ、どうしよう…」
「何でもいいぞ」
　タクシーは帰社しようとコールセンター部に向かっていたから、ちょうど今は新宿方面を向かって走っているのであった。

「あっ、焼き肉が食べたい」
「おおっ、いいな、生ビールと焼き肉か」
「はいっ」
「そうだな、じゃあ、新大久保のコリアンタウンに行くか」
　と、いう事で新大久保の韓国街の焼き肉屋に向かう。