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シャイニーストッキング

第14章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一


 174 心に秘めた思い…

 そしてわたしは今朝、完全にその思いは確信へと変わり、シャワーを浴びながら再認識をした。

 それは… 
『わたしは彼の愛情を佐々木ゆかりから奪い獲った』
 …のだと。

 あの時…

 そうあの時、山崎のおじさまからは、わたし自身の出自の、おじい様との濃い血脈の秘密を彼に伝えるのは
『時期尚早なんじゃないのか?』
 と、云われた。

『せっかく大原くんの目が律子に向き、重きを起き始めているのに、その秘密を伝えてしまい、その秘密の重大さに目が眩み、想いの重さを履き違えてしまうんじゃないのかもしれない…』
 とも云われた。

 つまりはわたしを見る目に色眼鏡が掛かってしまうのではないのか?…
 もしくはそのわたしの秘密のあまりの重大さに引いてしまうのではないのか?…

 そうまで云われたのだが…
 わたしには、ううん、わたしが愛した男には、男を、彼への想いには自信があったのだ。

 そうわたしは…
 大好きな、いや、大好きだったパパと同じ甘い香りのする男の事を信じたのだ。

 そして彼は、わたしへの愛の比重の変化の流れの順番を…
 間違いはしなかったから。

 だからこそ信じるに値するのだ…

 その順番の流れとは?

『時期尚早なんじゃないのか?』
『律子のその秘密の重大さに目が眩み、想いの重さを履き違えてしまうんじゃないのか…』
 と云ってきた山崎のおじさまの思いを杞憂としてくれた愛情の表れの順番…
 つまりそれはわたしへの愛情が先という流れの時系列。

 逆にいえば、わたしの事を愛してくれた上でのわたしの秘密を知った後に…
 男としての熱い『野望』の思いを持たない様な男にはわたし自身が興醒めしてしまうだろう。

 だから、つまりは、この今の彼は、いや、今朝の熱い目をした大原浩一という一人の男は…
 わたしの愛する男として完全に合格なのである。

 彼ならば、この男ならば、いや、この大原浩一が望むのであれば…
 彼の愛を信じ、この身を捧げ、自分の出自の血脈の全てを賭けてもいい。

 だからわたしは今朝、起き抜けに抱かれ、彼の目を見て、そしてシャワーを浴びながらそう思い、決意し、心に秘め、誓ったのだ。

 この男を信じて愛していくと…




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