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シャイニーストッキング

第15章 もつれるストッキング4    律子とゆかり

 22 同時進行の企画

「いやぁ、この持ってきてくれたマニュアル冊子が正に今回の依頼の内容にバッチリなんすよ」

「え、そうなんだ」
 わたしが驚いて聞き返すと…

「はい、そうなんでよ、少しだけ修正すれば全く問題ない位の素晴らしいレベルでぇ…」
 と、この新規業務の経験があるという理由からの部長推薦枠適用による
『特別正社員雇用制度』の適用により、急遽、9月から正社員に採用予定の営業課員の鈴木くんの彼女であり、元コールセンタースタッフの派遣社員であった『松山美咲』ちゃんがそう続いて応えてきたのだ。

「そうなの?」
「はい、特に今回必要なリクエストにピッタリで…」

 その必要なリクエストを満たすという事は…
 それはつまり、元々お客様からの電話を受ける主体の『インバウンド』という業務のみのうちのコールセンター部に、お台場の某テレビ局の報道局長である杉山くんの父親からの、どうやら秋に衆参同時選挙になる確率が高いという理由からの、その選挙に備えたアンケート調査主体の『アウトバウンド』業務の依頼なのである。

 そしてその業務依頼は、息子の手柄になり得る様にという親心もあるのだろう…
 自社であるお台場のテレビ局のみならず、赤坂と東京タワー由来の二つのテレビ局の三社もまとめて並行して依頼をしてくれたという経緯があった。

 だから売り上げだけではなく、規模も初めから大きくしなくてはならず…
 そして初めての業務体制となる訳であるから、経験者再優先の最優遇であり、なによりそれについてのマニュアルが絶対必要な必至事情といえるのてある。

「だから、この松崎さんのマニュアルによって、かなり先に進めそうっすよ」 
 と、杉山くんは明るく言ってきた。

「うわぁ、そうなんだぁ、それは素晴らしいわ」 
 
 そうなのである…
 傍目から見たらこの『新規業務』と『新プロジェクト企画』は二つ同時進行に見えるのであろうが、わたしにとってはこのコールセンター業務が秋の選挙までには確実にスタートさせなくてはならない再優先業務であり…
 あの保険業務である『新プロジェクト企画』は来春スタート予定であるのだ。
 
 ま、どちらにしても時間の無い、緊急な業務案件であるのと、春先までの新プロジェクト企画ではあるのには違いないのだが…
 



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