無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

　137　昂ぶりの余韻(7)

　欲情の激情を直接流し込んでくる様な激しいキスをしてくる律子…
　こんな激しい律子は、今まで見た事も感じた事もなかった。

　あ、いや…

　いや、違うかも…

　律子ではないけれど…

　そう、律子ではないけれども…

　あの頃の…

　あの時の…

　ゆかりだ…

　そうだ、そう、あの頃のゆかりが、一時期こんな激しいキスを…

　激しい欲情の昂ぶりを伝え、流し込んでくる様なキスをしてきたことがあった。

　そう、あの頃のゆかりだ…

　ドキドキドキドキ…
　私は瞬時にそう思い浮かべ、唇を、舌先を貪られ、吸われながら律子の目を見る…
　と、そんな私の気配を敏感に感じたのだろう律子が、閉じていた目を開き、私を見つめ返してきた。

　うわっ、やっぱりだ、間違いない…
　その見つめてくる律子の目は、興奮し、熱い欲情の昂ぶりに濡れ光っている。

　そして、その欲情の昂ぶりの目はやはり…
　あの頃のゆかりの目と同じであった。

　そう、あの頃のゆかり…

　あの頃…

　それは…

　まだ、蒼井美冴が『黒い女』と呼ばれていた…
　初夏の頃。

　それは私自身が彼女の美しい魅力に、その魅惑さに、ストッキング脚の妖艶さに気付いた頃。

　その同じ時期、同じ頃、ほぼ同時に、いや、ゆかりが先にだ…
　蒼井美冴のそんな魅力の魅惑さに気付いたのだった。

　そしてその同時期のその気付きが、ゆかりの強い嫉妬心という想いを生んだらしく…
　ゆかり自身が仕事上で蒼井美冴と絡んだ時に限って、激しい欲情の昂ぶりの情欲を私にぶつけてきたのだった。

　その欲情の昂ぶりの根源には、嫉妬心という想いの情欲があり…
　決まって激しく私を…
　私のカラダを…
　私の愛を求め、確かめ、再認識をしてきたのである。

　そう…
　今のこの律子のこの目は…
　あの時、あの頃のゆかりの目と同じ。

　つまりは…

　律子は…

　嫉妬心による激しい欲情を昂ぶらせているということ。

　それはさっきまでこの常務室にいたゆかりに対しての熱い想いと、嫉妬からの対抗心…
　そして私に対する独占欲からなのであろう。

　そう…

　それは、この私の、あまりにも情けない優柔不断なさっきの態度…