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シャイニーストッキング

第15章 もつれるストッキング4    律子とゆかり

 177 本当の理由(わけ)

 そしてもうひとつの、いや、本当の理由があった…
 本当のホンネ、本音はこの理由が大きくて、いや、怖かったのである。

 それは…
 さっきの、つまりは入江人事部長の電話が着信する直前までの彼、大原常務との淫靡で激しく愛し合ったあのセックス、あのセックスでの強く激しい快感、絶頂感の事である。

 わたしは今回の常務専属秘書就任に際して、自分自身に厳しく律した自分なりの規律を決めたのだ、そしてその決めた規律の中でも一番重要でありまだ就任して僅か一週間未満なのだが必死に守ってきた事があるのだ、それが…
 常務室内では絶対に公私混同はしない。

 例え、いや、もちろん、常務室内の殆どの時間は二人きりの時間といえる…
 来客が来ない限り、常務室内では二人で過ごすのが通常なのは当たり前。

 仮にわたしが彼に甘えたりする事なんて、いや、本当のホンネは、いつも、いつでも甘えていたい…
 なぜなら常務室内は完全密室なのだから、現実的にはどうにでもなるのだ。

 それに彼を知ってからは、いや、愛する、愛し合うようになってからは殆ど、ううん、夜以外の時間帯で過ごした事なんて無かったから、わたし自身、なし崩し的に彼に甘えてしまうという事実、現実は見えていた…
 だからこそ、そんな事実、現実を避ける為にも、わたし自身の中で公私混同は絶対にしないというその一線を決め、引いて、厳しく律する事に決めたのである。

 その公私混同を避ける為の一線により…
 先の越前屋さんが同席するのにもかかわらずでのランチの拒否であり、だからこその二人きりでの時間をできるだけ避け、拒否する姿勢といえたのだった。

 そしてそんなわたし的には必死な思いで決めた自身の規律を、どうやら彼はなんとか理解を示してくれ始めた矢先での…
 さっきの彼とのセックスという行為であったのだ。

 いや、それは、わたし自身自らが、まるで発作の如くに彼を求めたという経緯であり…

 ううん違うのだ…

 覚悟と心の準備は十分にしていた筈であったのにもかかわらず、彼女、佐々木ゆかりという存在との初めての対峙に際し…

 かなり激しい心の動揺と揺らぎ…

 いいや違う…

 あれは…

 嫉妬の想いからの揺らぎ…

 

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