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シャイニーストッキング

第4章 絡まるストッキング3 大原本部長と佐々木ゆかり部長

 132 夢幻しの如く

 和哉か…

 あれから5年か…

 今となっては過去の出来事…

 夢幻しの如く…である。


 そうだ、コーヒーが飲みたい…

 わたしはこのファミレスチェーンのコーヒーが美味しいのを想い出したのだ。

 コーヒーだけはちゃんと煎れていて美味しいのよね…

 今夜も色々あった、そして今、ようやく心が落ち着いてきていた。

 コーヒーを飲んで帰って寝ようか…

 缶コーヒーは避けたい…
 わたしはそう想いこのファミレスを訪れる。


「いらっしゃいませ…」
 そして窓際の席に案内され、すかさずコーヒーを注文した。

 とりあえず一杯だけ飲んで帰ろう…

 さすがに駒沢大学のすぐ近くであるから深夜零時過ぎとはいえ、大学生風の若いお客が多く店内はザワザワと騒めいていた。

 はぁぁ…
 コーヒーを一口飲むとなんとなく心に染みていく感じがして、少しリラックスしてきていた。
 
 あ、コーヒーも効くのかも…
 自律神経の暴走し始め辺りなら、なんとなくコーヒーが効くように思えてきていたのだ。
 
 ああ、早く治りたい…

 本当に、この1週間は激動の1週間であった、普通の人でさえも慌ててしまうような激動の1週間といえるのだ。
 だけど、毎日が楽しくて、ワクワクしているのも事実なのである。
 
 あとは心のバランスが早く整えられればよいのである…
 わたしはコーヒーを飲みながら、そう考えていた。
 そして時計代わりに携帯電話を確認すると

 あっ…

 少し前に武石健太から着信があったようだ。
 すると、彼の爽やかな、可愛い笑顔が頭に浮かんでくる。

 しばらくは、彼に、健太に甘えてみようかな…
 そう、もう大原浩一本部長には甘えられない、甘えない、のだから。

 ふう、よし、コーヒー飲んでリラックスできた、帰ろうか…
 そしてわたしはレジに向かう。

「ありがとうございます、280円ですね…」
 
 お財布から小銭を取り出しトレイに置き、そして、何気なくレジの店員を見た。


「あっ…」

「あっ…」
 
 あっ…

 ドキドキドキドキドキドキドキドキ…

 目を疑った…

 あっ…

 えっ…

 うそっ…

 えっ…

 ドキドキドキドキドキドキドキドキ…

 「えっ…」

 あまりの驚きで、再び心が激しく昂ぶってきていた…





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