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シャイニーストッキング

第5章 絡まるストッキング4 和哉と美冴1

 102 5年前、あの後…(9)

 美冴さんがお客と…

「そ、そんなことはないと思いますよ」

「えぇ、わからないわよぉ…
  だってぇ、美冴さん美人だったからぁ、ファンのお客多かったしぃ…」

「そ、そんなっ」
 僕は朱美さんのそんな言葉にイラついてしまう。

「あらぁ、和哉くん、なんかムキになってなぁいぃ…」

「いや、なってないです」
 実はムキなっていた。
 そしてかなり苛立っていた。
 それは実質、僕の知っている美冴さんはあの禁断の二週間の時期だけであり、それ以前の美冴さんについては存在しかしらなかったのだ。
 夏休みになり、昼間のアルバイトを始めてから美冴さんを、いや、この朱美さんの事も初めて知ったのである。
 だからあの禁断の時期以前の美冴さんの事には全く知らないし、この朱美さんに言われる迄、想像すらした事さえなかったのだ。

「美冴さぁん、かなりぃ人気あったからなぁ…」
 そう云われれば確かにそう、人気があったのを感じてはいた。

 それは、平日昼間のファミレスのお客の主流、常連はサラリーマン主体であった、それも20代から40代迄の幅広い年齢層である。 
 サラリーマンにとってはファミレスのランチメニューは低価格で、スープ、ライスお替わり自由、そしてうちはコーヒー飲み放題も付いているのだ。
 だから平日昼間の11時から2時辺りまでの客層の中心はほぼサラリーマンであり、その中の約6割以上が常連客で僕でさえ顔が認識できている位なのである。

 そんなサラリーマンの常連客に、美冴さんが辞めて直ぐからよく
『あれ、美冴さんいないの…』
『えぇ、辞めちゃったの…』
 等々、かなり訊いていた。

 だからお客と仲良くなった…

 気に入ったお客達と遊ぶ…

 遊んだ…

 なんて事の可能性が朱美さんの言葉により、ゼロではないと急に思うようになってしまっていたのである。
 そして以前に読んだエロ本を思い出してきたのだ。
 それはパートの人妻が平日昼間に不倫、浮気を繰り返す…
 という内容であった。

 まさか…

 そんな…

 あの美冴さんが…

 まさか…



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