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シャイニーストッキング

第6章 絡まるストッキング5 和哉と健太

 23 信用に値する…

 なんでだろう…

 これは…

 この想いは…
 
 すっかりわたしは健太に惚れ込んでしまった、ということなのだろうか…

 こんな想いはあの、亡くなったゆうじに対して以来であった。
 そんな心の戸惑いが、ドキドキ、ザワザワと心を騒つかせてきていた。

 だが、事実、今、この時、健太を目の前にして、こうして一緒にいて、楽しいのである…
 浮き浮き、ワクワクと、してくるのである。

 そうか…

 そうなのか…

 これもまた、あの例の不安定な自律神経のせいなのだろうか…

 今までの、誰にも心を開いてはいけない、許してはいけない、心を閉ざしていろ…
 という、自分自身に課してきたあの
『黒い女』の想いの反動なのだろうか。

 この目の前にいる健太の、滲み出てくる優しさに心が震え、揺れ動かされているというのだろうか。

 でも、こんな想いは、想いならば、楽しい…

 あの押さえ切れない、淫らなスイッチの入り方とは似ても似つかない。

 いいんじゃないのか…

 この心の浮き浮きとした想いに抗わずに、まだ少し様子を見て、この流れに漂ってみよう…

 わたしはそう想いながら、目の前の健太と話しを弾ませていくのだ。
 昨夜のゆかり準備室長ともそうであったのだが、心の安心感が、そうわたしの心を緩ませてきていたのだろうと思われるのである。

 健太の軽快な会話、そして彼の屈託のない笑顔に、すっかり楽しんでいく。
 だが、一つだけ感じる想いがあったのである。

 それは会話の一瞬の隙間に、時折、何となくなのだが感じる、そう、引っ掛かりみたいなモノ、つまりは健太に何かの想いが隠れている、そんな感じがしてくるのである。

 ま、それは考え過ぎであろう…

 まだわたしは健太の事は殆ど知らないのであるから…

 それにわたしは健太の事は信じていたのである、なぜならば、例の『黒い女』の経緯の話しをしてからの、健太がわたしを見る目が真剣に変わったのを感じていたからであったのだ。

 大丈夫、健太は信用に値する男なのだ…

 わたしの心はそう囁いていたのである。


 
 



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