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シャイニーストッキング

第2章 絡まるストッキング1

 46 資産運用管理部

 そして今日、いよいよこの保険会社を完全に傾けさせた元凶といえる常務派の温床である資産運用管理部との会議が始まるのだ。

「おはよう越前屋くん」
「おはようございます」
「今日は最後の会議になるし、ここが今回の全ての元凶だから、私は最初から飛ばしていくから…」
 キミはよく見て、観察しなさい…
 と、話した。

「は、はい…」
 今までの会議では私は殆ど発言はしなかったのだ、そしてほぼ黙って参加して、目の前にいる社員達の顔や表情や目の動きや様子を観察し、メモしていたのである。
 それを今日は越前屋くんにやれと言った様なものなのだ。
 そして彼女はさすがに聡明である、その私の意味をちゃんと理解している様であった。

「ここは調べによると常務派の巣窟らしいから…」
 ここだけは飛ばしていく…
 そう話したのだ。

「はい…」
 彼女も少し緊張気味になる。

 そして会議が始まった。

 この会議に限り、やはりここの元凶人物である常務も参加をしていた。

「始めに、今回のこの我が本社による吸収合併のきっかけとなったのはここの資産運用管理の失敗が全ての始まりである…」
 私はそう強く発言した。
 すると約20名程いるこの部署のメンバー達が全員どよめいたのだ。
 そして係長、課長、部長等の役職達全員が、私と並び座っている現常務を一斉に見つめてきたのである。
 この彼らの視線により、やはり全ての元凶人物がこの常務であるとハッキリと解ったのだ。

「それに現段階でも既にに相当額の使途不明金の存在も判明している」
 私はそう言いながら目の前の社員達の目の動きに集中する。

「え、そ、そんな…」
 そう呟いたのは課長であった。

「はい、今だから言いますが、内部告発者がおります、しかも丁寧に使途不明金の帳簿も添付してくれております」
 この時、ほんの一部を除いてほぼ全員が一斉にどよめいたののだ。

「そしてこの件に関しては、合併後すぐに本社監査部の内部監査が入り、全てを隈無く調査する予定になっております」
 ザワザワと騒めいている。

「そして細部まで調査をし、まずはなぜ資産運用管理が失敗したのか、ここまで火傷したのか、そして使途不明金の全ての金額と内容と元凶人物を完全に追及する手筈になっております」

 数人は下を向いているのだ。





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