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シャイニーストッキング

第6章 絡まるストッキング5 和哉と健太

 90 子犬のような目

 わたしは健太に抱き締められ、口吻をしながらそんな和哉の事を考えてしまっていた。

 ああ、やっぱりダメだ…

 やっぱり彼とちゃんとケリをつけなくては…

 再会してしまったのだから、もう放ってはおけない…

 そう考えていると、すっかり健太は興奮してきたようで、鼻息を荒げながらわたしの胸をまさぐり始めてきたのだ。

「あ、ああん、健太さん、ダメよ、ダメ…」
 今度はしっかりと拒否の声を出した。

「あっ、えっ…」
 まるでお預けを食らった子犬のような顔をしてくる。

 ああ、さすが、年上女キラーだ…

 その表情、その目、思わず胸がキュンとしてしまう。

「もおダメ、そんな目をしたって、今日はもうしませんから」
 と、わたしはピシャリと言った。
 
 でも本当は違うのだ…

 本音は抱かれたかったのだ…

 だが、今は午後3時になろうという時間

ここで健太に抱かれてしまったら…

 愛されてしまったら…

 セックスしてしまったら…

 そのままなし崩し的に夜までダラダラと抱かれ、愛されたくなってしまうのが分かるのだ。

 だって本音はそうだから…

 でも今日はまだ連休の、9連休の初日なのである。
 ちゃんと付き合うという事になって二日目、二回目の今日なのだ。

 焦ることはない…

 それにまだ、わたしの心が準備不足なのだ。

 健太自身もそうであるように、わたし自身にも、和哉という身辺の、心の、整理が必要になった事案が浮かんだのである…

 だから、お互いにそれらをきちんと整理整頓し、スッキリしてから愛し合いたい、ヤリまくりたいのだ。

 だから我慢して…

 さすがにわたしは、それを言葉には出せなかったのだが、そう目で語ったのである。

「あ、は、はい…」 
 おそらくわたしのそんな目の意味はさすがに伝わらないであろうが、健太は小さく返事をして、抱き締めていたわたしのカラダを離した。

「今夜は帰らないとね…
 まだ、母親が色々と心配してくるのよ…
 ほら、『黒い女』から復活したばかりで色々と不安定なのもわかっているからさ…」

 だが、この話しは本当なのである…






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