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シャイニーストッキング

第2章 絡まるストッキング1

 51 コミュニケーション

「そうだ、嬉しいか、ら3人にランチご馳走するわ、ついでにミーティングもしたいしさ…」
 そうなのである、どっちみち午後イチからこの営業課の3人と会議予定であったのだ。
 土日の杉山くんとの三つのテレビ局の報告と、人材派遣会社関係との今後の連携報告を兼ねての会議をする予定になっていた。

「やったぁ、マジッすかぁ」
「うん、マジッす」
 わたしは彼らの口調をマネる。
 実は意外にこの口調がお気に入りなのであった。

「じゃあさ、個室取れるところ探してよ」
「はい、大至急探しますっ」
 
 そうだ、ついでに笠原主任も誘おう…
 どのみち今後の彼女にも重責が掛かるのだから、もう今から色々と話し合うスタイルを確立したい。

 そしてわたしと営業課3人、笠原主任の5人で近くのレストランの個室でランチミーティングをする事となったのだ。

 因みに営業課の3人は若い順に
  杉山大輔24歳
  鈴木創(はじめ)28歳
  山中正史29歳
  の3人であり、わたしが営業課の課長も兼ねている。

 わたしは勿論このメンバーと食事をするのは初めてであり、というよりは今まで上司となってからの忘、新年会以外にこうした食事系で同席する事は初めてである。
 第3営業部時代は何度となく連れられたのだが、自分が上の立場になってからは全くしたことがなかったのだ。
 新ためてダメだなと痛感していた。
 いや、そもそも今までの人間性が根本的にダメなのである。
 こういう部下とのコミュニケーションを取るという事自体を全く考えた事がなかったのであった。
 でも考えればすぐに分かるのだ、そうなのである、わたしには友達関係等はいないし、ましてや同僚、同期とも関わった事が皆無なのである。
 それは土曜日夜の笠原主任と二人での食事と、カラオケにさえ行った事がないという事実でよくよく痛感した事なのだ。
 本当に人間性という面では欠落しているのである。

 だが、今日もそうなのであるが、こういう部下とのランチミーティング等を思い付くという事自体が、わたし自身の内面の変化を物語っているのではないのだろうか。
 そしてこれも全てが大原部長への愛情の認識による変化なのではないか、と、思えるのである。

 あ、大原部長に逢いたい、電話したい…
 急にそんな衝動が湧いてきたのだ。

 




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