
シャイニーストッキング
第7章 絡まるストッキング6 和哉と美冴2
4 大人の女
『俺の脚の証だから…』
あの時のゆうじの言葉が想い返ってくる。
ああ、でも、今は冷静だ…
彼の事を想い返しても心の騒つきは静かであった。
もう乗り越えられたのかもしれない…
彼の事を決して忘れたわけではない、だがわたしは確実に乗り越えられて前に進めていたのだ。
大原本部長と、健太のお陰かな…
そう心から思うのであった。
そして艶々な光沢の薄手のナチュラルカラーのストッキングを穿き、鏡の前で全身をチェックする。
よしっ、良いわ…
あとは化粧だ…
思いっ切り大人の女の化粧にしよう…
そうなのだ、わたしは敢えて大学生の和哉とはわざとアンバランスな大人の女を演出するつもりでいた。
それが和哉の為になるはずだ、と、思えるのだ…
碧系のアイライン、藍色系のシャドーを薄く引き、ディオールの紅い艶ルージュをグロスで更に艶々に仕上げる。
よし、完璧だ…
大人の女だ…
鏡には、まるでパーティーにでも出掛けるかの様な装いの大人の女のわたしの姿が映っていた。
午後6時半…
歩いて5分のコンビニで午後7時に待ち合わせなのだがもう行こう。
きっと和哉はもういる筈である…
そんな気かしていた。
玄関で紺色のエナメルの艶のヒールに爪先を差し入れた時
ブー、ブー、ブー…
携帯電話が鳴った。
誰、和哉からなのかな?…
「あっ…」
電話は『カフェバー波道』のオーナーのノリくんからであった。
なんだろう…
わたしは玄関を出ながら電話を受ける。
「もしもし…」
「あ、美冴さんスか、ノリっス…」
「うん、どうしたの…」
その電話は、本来、明後日の12日にゆうじのお墓参りに連れて行ってもらう約束をしていたのだが、急にノリくんの親戚に不幸があって行けなくなった…
という旨の内容の電話であったのだ。
「本当にすいませんス…」
「いいえ、逆にお盆なのに大変ね」
「ま、仕方ないっス…」
と、当たり障りのなあ会話を少し話して電話を切った。
そうか、仕方ない…
ゆうじのお墓参りは後日にしよう…
まだ、とても、あの距離を一人では運転できなそうであった。
誰かにクルマで連れて行ってもらえないと行けない場所だから…
そしてわたしは待ち合わせのコンビニへと、歩いて行く。
『俺の脚の証だから…』
あの時のゆうじの言葉が想い返ってくる。
ああ、でも、今は冷静だ…
彼の事を想い返しても心の騒つきは静かであった。
もう乗り越えられたのかもしれない…
彼の事を決して忘れたわけではない、だがわたしは確実に乗り越えられて前に進めていたのだ。
大原本部長と、健太のお陰かな…
そう心から思うのであった。
そして艶々な光沢の薄手のナチュラルカラーのストッキングを穿き、鏡の前で全身をチェックする。
よしっ、良いわ…
あとは化粧だ…
思いっ切り大人の女の化粧にしよう…
そうなのだ、わたしは敢えて大学生の和哉とはわざとアンバランスな大人の女を演出するつもりでいた。
それが和哉の為になるはずだ、と、思えるのだ…
碧系のアイライン、藍色系のシャドーを薄く引き、ディオールの紅い艶ルージュをグロスで更に艶々に仕上げる。
よし、完璧だ…
大人の女だ…
鏡には、まるでパーティーにでも出掛けるかの様な装いの大人の女のわたしの姿が映っていた。
午後6時半…
歩いて5分のコンビニで午後7時に待ち合わせなのだがもう行こう。
きっと和哉はもういる筈である…
そんな気かしていた。
玄関で紺色のエナメルの艶のヒールに爪先を差し入れた時
ブー、ブー、ブー…
携帯電話が鳴った。
誰、和哉からなのかな?…
「あっ…」
電話は『カフェバー波道』のオーナーのノリくんからであった。
なんだろう…
わたしは玄関を出ながら電話を受ける。
「もしもし…」
「あ、美冴さんスか、ノリっス…」
「うん、どうしたの…」
その電話は、本来、明後日の12日にゆうじのお墓参りに連れて行ってもらう約束をしていたのだが、急にノリくんの親戚に不幸があって行けなくなった…
という旨の内容の電話であったのだ。
「本当にすいませんス…」
「いいえ、逆にお盆なのに大変ね」
「ま、仕方ないっス…」
と、当たり障りのなあ会話を少し話して電話を切った。
そうか、仕方ない…
ゆうじのお墓参りは後日にしよう…
まだ、とても、あの距離を一人では運転できなそうであった。
誰かにクルマで連れて行ってもらえないと行けない場所だから…
そしてわたしは待ち合わせのコンビニへと、歩いて行く。
