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シャイニーストッキング

第2章 絡まるストッキング1

 5 ハイテンション

「ええー、もおぉ、失礼ねぇ、歳の話しはやめてよぉ」
「あ、いや、すいませんス、でも初めて出会った頃より若く見えるんで…」
「なんかぁ、そんなに驚いた顔で言われるとあまり嬉しくないなぁ」
 でも嬉しそうな顔である。

「お、お二人さまで…」
「うん…」
 そう彼女は頷き、私達はカウンターに座った。

「わたしアイスコーヒーね」
「じゃあ、ビール貰おうか、バドワイザーがいいかな」
 なんだか驚きで喉が乾いてしまった、でももう午後4時を過ぎている、だからビールにしたのだ。

「あと、そうだなぁ、ピラフ系くれるかな」
 マスターは頷いて奥に入る。

「あら、お腹空いてたんですか…」
「うん、昨夜から12時間も寝れてね」
「あら、わたしもなんですよ、2年振りにすっごくよく眠れちゃって、10時間も…」
 私はその2年振りという彼女の言葉に思わず頷いてしまう。

 あの逢瀬の夜に言っていた
 全てリセットできた…
 正にそうなんだな、リセットできたんだな、と、そう思ったのだ。
 そしてそう話す彼女の表情も本当に明るい、本当にリセットでき、変わったのだろう。

 私はビールを飲み、ピラフを食べ、彼女はアイスコーヒーを飲みながら二人で会話をしていく。
 そしてまた一つ驚いたのである。
 実は彼女はよく話すのだ、明るく、本当に楽しそうに話すのである。
 私が彼女を会社で見かけていた時には、あの『黒い女』であったせいもあり、また、黒い、という先入観で初めから見ていたせいもあり、会社でオペレーターの仕事以外に話している姿を見かけたことがなかったのだ。

 あ、でも笠原主任は彼女の事を買っていたなぁ、そして褒めてもいた、こういう事だったのだろうか…
 そう、よく話している彼女を見て思っていた。

「………そうなんですよ…」 
 彼女は以前の職場である某大手旅行代理店時代の話しを楽しそうに話していた。

「そうなんだ…」
 私も始めて見る彼女のテンションにつられてしまい、つい大学時代のサーファー時代の話しをしてしまうのである。


 その彼女のテンションの高さにも驚いてしまってもいたのだ…





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