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シャイニーストッキング

第8章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一

 39 再会を望む矛盾

 30代の頃、あるきっかけでふと、昔を思い返し、懐古した時に、改めて彼女の魅力を再認識し、理解できた。

 そして私はその瞬間、愕然としてしまい、暫くは己の未熟さに後悔の想いが止まらなかった…
 そんな時期があったのである。

 総じて全ては青春の過ちであり、甘さであり、甘酸っぱい思い出といえる…

 そして一つだけ、ひとつだけ心残りがあったのだ…

 だから、それに気付いてからは、ずっと心の奥深くの中で再会を切望していたのである。
 だが、その切望は非常にデリケートな想いでもあったのだ。

 なぜならばそれは本当に、甘い青春の思い出であり、やり残しであり、甘酸っぱいのである。
 そして誰しもがそうである様に、過去とは、青春とは、美化してしまいがちなのであるのだ、だから、万が一、現実に再会をして
 もしも、きよっぺが…

 老けて…
 
 醜く…

 オバさん化していたらどうしようか…

 そしたらば百年の恋も覚め、そして一気に壊れてしまうのではないのか…

 だったら再会など望まない方がよいのではないか…

 そんな逡巡があり、心にその様な恐れが多大に湧き起っていたのである。

 そしてその可能性は歳を経る事に、どんどん大きくなると思っていく、いや、可能性は高いと思っていたのだ。

 だが…

 今、現実に…

 ここにいる彼女は…

 20年振りに再会したきよっぺは…

 あまり昔と変わらなく…

 魅力的であった…

 いや、美しく…

 魅力的に…

 老けている…

 つまりは自然に美しいのである。




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