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綺麗なあの人に抱かれたい!

第11章 ☆後日談【3】想い、想われ、嫉妬する。

「はあ……ったく、しょうがねえな]

 苛立ったまま頭をがしがしと掻く卯月さんは、仏頂面のまま、私の肩を強引に引き寄せた。
 彼の前髪が、ふわりと頬を掠める。
 首筋に顔を埋めて、吐息が肌に触れた。

 そして、

「ぎゃ!」

 首を噛まれた。
 遠慮なしに、がぶっとヤられた。
 突如走った痛みに、悲鳴を上げる私。

「な、何? 何で?」
「跡つけた。これ、男が見たら萎えるだろうな」

 "これ"を指先でなぞりながら、卯月さんは満足そうに微笑んだ。

 手鏡を取り出して傾けてみれば、首筋にくっきりと、歯型のマークが映ってる。
 やり方が猟奇的すぎるよ……。
 キスマークならともかく、歯型って。

「かっちょ悪い……」
「彼氏につけられたって言えよ」
「くまちゃんに噛まれたって言う」
「…………ああ、それいいな。俺がいない時は、くまにボディガードやらせよう。奈々に近づく変な虫を追い払えるように、俺がくまに調教してやる」
「やめてあげて」

 いらん闘志を燃やし始めた卯月さんに、私は苦笑するしかない。





 『飲み会』の言葉が嫌い。
 それはどうやら、卯月さんも同じだったみたい。
 でも嫉妬の具合は、私より彼の方が露骨。

 嫉妬の深さは、想いの深さ。
 それすらも愛しいと感じてしまうなんて、私は重症なのかもしれないね。



《了》



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