綺麗なあの人に抱かれたい!
第13章 ☆後日談【5】あなたは近くて遠い人。
ふと、真夜中に目が覚めた。
寝起きで朦朧としていた意識は、ある事に気づいた瞬間に覚醒する。数時間前まで隣にあったはずの気配が、跡形もなく消えていた。
空いたスペースに手を伸ばしても、シーツに温もりは感じられない。部屋中を見渡しても、ベッドの主の姿はない。
とはいえ、驚きや焦りはない。
彼が今どこにいて、何をしているのか。私にはもうわかっているから。
ベッドから降りて、リビングに目を向ける。
スタンドライトの光を頼りに、卯月さんはノートパソコンと向かい合っていた。
普段は使用しない眼鏡を着用し、時折目をこすりながら、キーボードを打ち込んでいる。
ぼんやりとした薄明かりに照らされた横顔は、傍目から見てもわかるほど、疲労の色が滲み出ていた。
季節は冬に差し掛かり、12月を迎えた。
1年の締め括りとなる繁盛期。卯月さんの会社も例外ではなく、多忙を極めているみたいだ。
休日返上で出勤が当たり前になってきて、以前よりも残業も増えた。週末の夜は一緒に過ごせているけれど、休みに関わらず仕事の電話が掛かってきたりして、何となく落ち着かない。卯月さんも心なしか、口数が少ない気がする。
それでも彼は、疲れている素振りを私の前では見せない。
寝起きで朦朧としていた意識は、ある事に気づいた瞬間に覚醒する。数時間前まで隣にあったはずの気配が、跡形もなく消えていた。
空いたスペースに手を伸ばしても、シーツに温もりは感じられない。部屋中を見渡しても、ベッドの主の姿はない。
とはいえ、驚きや焦りはない。
彼が今どこにいて、何をしているのか。私にはもうわかっているから。
ベッドから降りて、リビングに目を向ける。
スタンドライトの光を頼りに、卯月さんはノートパソコンと向かい合っていた。
普段は使用しない眼鏡を着用し、時折目をこすりながら、キーボードを打ち込んでいる。
ぼんやりとした薄明かりに照らされた横顔は、傍目から見てもわかるほど、疲労の色が滲み出ていた。
季節は冬に差し掛かり、12月を迎えた。
1年の締め括りとなる繁盛期。卯月さんの会社も例外ではなく、多忙を極めているみたいだ。
休日返上で出勤が当たり前になってきて、以前よりも残業も増えた。週末の夜は一緒に過ごせているけれど、休みに関わらず仕事の電話が掛かってきたりして、何となく落ち着かない。卯月さんも心なしか、口数が少ない気がする。
それでも彼は、疲れている素振りを私の前では見せない。