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綺麗なあの人に抱かれたい!

第3章 抱かないの?

 散歩をしていたら卯月さんに会った。
 5日ぶりの再会だった。

「……よお」
「どうもです」

 ほらね、やっぱり。
 住んでる場所が近いと、偶然すれ違っちゃう。

「アンタの犬?」

 卯月さんの視線が、私が握っているリードに向き、そして下に落ちた。

 そこにいるのは、一匹の白い子犬。テディベアを思わせる柔らかな毛につぶらな瞳。従順で甘え上手のマルチーズ。私の愛犬だ。
 短い前足でぽてぽて歩き、卯月さんをじっと見つめている。

「うん、そう」
「へえ。名前は?」
「くまごろう」
「は?」
「くまごろう、です」

 なぜか不満そうな顔をされた。なぜだ。

「変な名前」
「変じゃないよ。ね、くまちゃん」
「わう」

 私の主張に同意するように、くまちゃんが小さく吠える。

「ほらね」

 ドヤ顔で告げれば彼の眉間に皺が寄る。
 その場にしゃがみこんで、白い頭に手を置いた。
 ゆったりと撫でる手つきに、くまちゃんも嬉しそうに尻尾を振っている。

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