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「はい。仕事が残っていて。」

「お腹に赤ちゃんいるんだから、無理しないでね。」

その時、帰ろうとしていた部下の真紀が、こっちを振り返った。

「羽奈ちゃん、妊娠したの？」

すると羽奈ちゃんは、ハッとした。

「どうりで結婚、怪しいと思っていた。デキ婚だったんだ。」

真紀はアラサーだけど、結婚していて、確か不妊治療を受けていたはず。

まだ若い羽奈ちゃんに、赤ちゃんができて、嫉妬したのだろう。

「妊娠しても、仕事だけはきっちりやってよ。」

そう言って真紀は、帰って行った。


「羽奈ちゃん、ごめん。私、余計な事を……」

「本当です！」

羽奈ちゃんは怒っていた。

「だからチーフは、人の気持ちが分からないんですよ。」