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甘い蜜は今日もどこかで

第5章 【もし間に合うのなら】






冷静になろうとする私と真逆で熱くなるジロウ。
覆っていた手も簡単に退けられちゃった。
壁に押さえつけられたら素早く唇が重なったの。




手首を持っていた手も次第に指を絡めてきてジロウらしからぬ濃厚なキス。
私からギブアップしちゃうような腰に来るディープな。




「ごめんなさい……でも嫌だ、あの人のが残ったままバイバイしたくない」




「ジロウ、それ、妬いてるって自覚ある?」




耳まで真っ赤になってるからようやく自覚したんだと思うけど正直遅いよ。
でも、妬いてくれて嬉しい。




「明日……吉原さんに顔向け出来ない」




「気にするとこ、そこ!?」




「でも、後悔はしてません、それに僕、一滴も飲んでませんから」




「え!?そうなの?」




「ノンアルコールビールだったんで」




今度は逆に私が真っ赤になった。
不意打ちの連続は心臓に悪い。
えっと、どういう意味のキスだったのかなんて聞く勇気ない。
ちゃんとした言葉が欲しいのは確かなのに、また誤魔化されたりしたらって躊躇う。
もう、一人で落ちるのは嫌なの。




再び目が合って「まだ消毒しなきゃ」って可愛い理由で唇を重ねてくるジロウにキュンとした。
首に手を回して何度も角度を変えて絡ませる。




「好き」ってまだ言ってもらえてないけど、火照る私たちを止めるには丁度良いタイミングでジロウの携帯が鳴った。
わかってる、吉原さんからでしょ?
2人がちゃんと別れたか確かめる為の電話。




「行って、私は寝たって言ってくれて良いから」




「は、はい……おやすみなさい」




少しだけ屈んでて笑いそうになったけどバイバイした後に電話に出てちゃんと言い訳してくれてる。




ねぇ、どうしようか。
唇に残ったままのジロウの感触。
熱いよ……まだ欲しかった。
撮影全部撮り終わったら……て考えてたけど1日目でコレ!?
最後の最後で頂点まで持ってかれたんだけど!?




なかなか心臓は大人しくしてくれなかった。
寝なきゃいけないのに悶々として、結局あまり寝れなかったけど翌朝の化粧のりは一段と良かったわ、アハハ。














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