甘い蜜は今日もどこかで
第1章 【本当は嫌なのに】
そんなこと言われて帰す訳ないでしょ?
鍵なんて開けさせてやんない。
ドアに押し倒してでも逃さない、キスさせて。
どんなに拒まれても今はジロウが欲しい。
舌でこじ開けたら戸惑いながらも絡ませてくれた。
ねぇ、今どんな感じだと思う?
ドアに押し倒されたジロウの両手押さえて私がキスしてるよ?
ジロウ、女の子みたい。
でも背はジロウの方が高いから、片手離して首の後ろに回すの。
別れ際のキス…みたいね。
「そうだよ、私、ジロウのだよ」
「で、出しゃばってすみません」
「謝んないで、特効薬きれてきたからまた頂戴…」
再び踵を上げて唇を重ねる。
抵抗しないなら調子に乗っちゃうよ?
離れようとするの萎えるからやめて。
まだ欲しいくせに。
勃っちゃうからジタバタしてるんでしょ。
「かーわい、ジロウ可愛い…」
喋ろうとするの全部塞いじゃう。
もう観念しなさいよ。
そろそろステップアップしちゃう?
私はジロウならいつでもOKだよ。
え、え?ええっ?
ズルズルと下がって脚腰きちゃったみたい。
お尻着いてへたり込んじゃった。
トロンとした目で唾液の糸が繋がっている。
下を確認して「する?」って聞いたらヘタレのキミは激しく首を横に振るよね。
想定内だけど。
そうだね、私には手を出せないもんね。
必死にこっちも理性取り戻してるの、待って。
手を引いて立たせるも勃起してるから腰が引けてる。
仕方なく笑うよ、笑うところでしょ?
「す、すみません、すぐ収まると思うので……」
「ジロウとはこの先も長く居たいからここまでにしておくね」
両手で股間押さえてプルプルしてるから笑いを堪えるのに必死だよ。
「おやすみなさい」
「うん、また明日」
ヘタレくんご帰宅。
このモヤモヤは一体いつ解消されるのか。
もしかして、こんなに待っちゃう私ってとことんドMなのかな?
ジロウの放置プレイを最早楽しんでいるなんてね。