甘い蜜は今日もどこかで
第2章 【曖昧なカンケイ】
「僕の前で無理して素を隠そうとするのダメですよ、ペナルティーです」
どうやら、知らないうちに自分の中での問題だと決めつけていたようだ。
ジロウに見抜かれてしまうなんて汚点よ。
でも、少し不貞腐れた顔にキュンときてしまう。
「あぁ、ムカつく、もう…!」
気が付いたらジャケットの襟元掴んで引き寄せジロウにキスしていた。
こんな、誰でも見れる場所で理性を飛ばされるなんて。
「おやすみ」とだけ言い残して車を出た。
そしたらジロウも降りてきて走って追いかけてきた。
手を取られ急に抱き寄せてきたりして、何なの?
こんなこと滅多にしないのにさ。
「ごめんなさい、怒らないでください」
「わかった、もう良いから、帰りなさい」
「僕も、あの人たちと同じですか?」
「え?あの人たちって副社長?」
「クライアントたちとってことです」
「ジロウは違う、ジロウはジロウでしょ」
「はい、それだけはわかっててくださいね?おやすみなさい」
パッと離れていつもの笑顔を見せてきた。
何気に外だし。
誰か見てたらどうすんのよ。
たまに予測不可能な行動取るよね。
「………ん?」
目だけで会話するやつ。
何か言いたそうな顔がやけに気になる。
でもね、普段から行動起こさない罰です。
「おやすみ」とだけ言って手を振った。
ちゃんと家に入るまで見送ってくれる。
電気をつけて、ベランダに出て下を覗いたらまだ車の外に居て大きく手を振るの。
振り返したらやっと車に乗って走り出す。
「こっちの気も知らないで、バーカ」
あぁ、クソ………めちゃくちゃジロウとシたい。
ヒーヒー言わせたい。
ジロウってベットの上じゃ、どんな顔するのかな。
困らせたい訳じゃないけど、あんな顔されたら堪んないよ。
堪えるの必死だったんだからね。
悶々とした夜を一体いつまで与えられるのか。
仕事さえ充実してれば良い……なんて思ってたけど人恋しい夜もあるんだよ。
レンカノしてたって心が満たされる訳じゃないし。
本当の恋愛とかどう順序踏むんだっけ?
細かい駆け引きや進め方など忘れかけている自分にドン引き。