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甘い蜜は今日もどこかで

第2章 【曖昧なカンケイ】






トロン…とした目で私のボタンも外してくる。
ぎこちないね、慣れてない分フォローするから。
もう、ぐっちゃぐちゃになっちゃおうか。




凄い勃ってるのがわかる。
久しぶりなの?本当?
あなたなら引く手あまたでしょうに。
唾液の糸で繋がっている。
火照った身体はもう後戻り出来ないところまで来ていたというのに。




突然鳴り響いた私の携帯。
脱いだジャケットのポケットから振動している。
わかってる、ジロウだ。
GPSで確認して掛けてきてるんだ。
2人して社内に戻って仕事以外に何をしているんだと。
報告義務も怠った。




「あ…………ごめんなさい」とジャケットを拾い、電話に出る。




__椿さん?会社に戻ってどうしました?報告ないんで電話しました




「ごめん、ちょっと連絡出来なかった……もう戻るから」




__わかりました、前に車つけときますか?




「あぁ、うん、お願いします」




電話を切ると後ろからハグしてきて顎クイでキスしてくる。
火照り止まぬ身体……おあずけすることになりそうです。
離れて距離を取るとまた悲しそうな顔。




「ごめんなさい、一旦落ち着きましょう、葬儀の後ですし」




「…………わかりたくないけど、わかった」




リセットの仕方、わかってるでしょうか。
ううん、きっと無理だよね。
でももう良い大人だから気持ちの切り替えは出来て当たり前……なはずだけど。




「副社長は今週いっぱいお休みしてください」




「会えないの?藤堂さんに会いに来ちゃダメなの?」




「忌引き休暇として申請しておきました」




「会える……?会いたい」




もう後戻り出来ない視線。
私を捕らえて離さない。




「会いません………2人が残りの契約期間内、ちゃんと仕事の関係に戻るには会わない方が良いです」




「勝手に終わらせないで……藤堂さんっ」




距離を取ったのに隙間なく抱き寄せられて年上でナンバー2の大の大人が駄々をこねる。




「嫌だ……嫌だ……会えないなんて言うなよ、俺は会いたい……会ってキスしたいよ……藤堂さん」




「今日は帰ります……副社長もお気を付けてお帰りください」










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