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甘い蜜は今日もどこかで

第3章 【どんなに焦がれても】








翌日も、その翌日もいつもと変わらない態度のジロウ。
私もそうなることはわかっていたし慣れてるからどうってことない。
また日常に戻ったんだってだけ。
相変わらず不意打ちでキスしたらアタフタして「椿さん!」って叫ぶジロウで遊んでる。




秘書業務の合間に例のレンタル妻依頼のクライアントとの情報共有に勤しむ。
仕事が終わればジロウの送迎車に乗り込み、耳では英会話、目はタブレットで当日の流れを確認していく。
ヘアメイク、衣装は全てUNEEDの事務所で行う。
オプションで指定されているらしいから写真で確認。




「椿さん、着きましたよ」




「ん?ありがと、お疲れさま」




「はい、お疲れさまでした」




ごめんね、タブレット見ながらマンションに入っていく私を見えなくなるまで見ていてくれてるんだよね。
一度集中したら話しかけても受け答え出来ないことが多い。
短期集中型なのもちゃんとわかってくれてるからソッとしといてくれる。




そんな日が何日か続いた。




そして、レンタル妻を明日に控えた今日。




どうして、こんなことになるのか。
呼び出された副社長室で壁際に追いやられ、抵抗するにも両手も押さえつけられて唇を奪われている。




また、駄々をこねるの?
「行くな」って聞けない指示を出してくるのね。
私は契約上、明日はあなたの秘書ではない。
特別な感情は抱いちゃいけないって念押しされているのに抑えきれなくなっちゃったのね。




あまりにも普段は距離を置いて接していたから堪らなくなったんでしょ?
頭の上で手はクロスにされて口内を犯される。
片手が私の腰を支えて更に強く抱き寄せるの。




ダメだよ、そんなキスじゃ感じない。
他の誰かが急に入ってくるかも知れないリスクまで冒してこんな危険な行為。
脚の間に副社長の脚が入ってきた。
終わらないキス、絡み合う舌先。
痛いくらい不安と妬みを受け取った。




顔を伏せても顎クイして重ねてくる。
身体を動かせば副社長の脚が当たっちゃうから下手に動けない。
絶対に感じてなんかあげない、火照ったりしないから。




「きゃっ…」




抱き抱えられて反転し、デスクの上に座らされた。
片付けられた書類の上に乗ってます、ちょっと、何してるんですか…!









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