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片恋は右隣

第3章 ちょっと先走りすぎじゃないですか


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キャパ越えとはこういうことを指すんだろう。
再び休憩室のテーブルに肘をつき、わたしはがっくりと頭を垂れた。

「ハア…………」

コンコン、とテーブルの足をつま先で軽く蹴りつつ、今までの自分の異性との付き合いを思い起こす。
大学時代に彼氏が居たといっても、自分と似た人種だった。

そもそも地元へ帰ってきたのも。
半同棲してた彼氏に裏切られドロドロの関係を経て、逃げるみたいに戻ってきただけだし。
よくあるあるな話だ。

それ以降彼氏なんて居なかった。
作る気も起こらなかった。
いっそもう、世間的に婚期の遅れた35歳辺りを目指してた境地だ。


「堂々と昼前にサボりっすか」

背後から人の気配がし、丸テーブルを挟んでわたしに声をかけてきたのは花邑くんだった。

「そっちこそ」

「打ち合わせ中途半端に終わったんで」

自販機でコーヒーを入れ、話しかけてくる。

「今晩残業ありそうです? おれは大丈夫ですけど」

そういえば約束してたっけ。
自分の手元を改めて見ると、スマホのスケジュールのトップ表示がそのままになっていた。

「ああ、そういえば下見か。 うん、大丈夫だと思う。 ……ねえところで。 カレカノでも指輪とかするもの? 薬指に」

「人によるんじゃ? おれの連れ、遠距離だからしてるのいますよ。 個人的にはなんか束縛っぽくて苦手ですけど」

「ふうん……」

そんなモンか。
牽制的な?
まあ、あの倉沢さんが彼氏だもんね。


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