社内の推しメン先輩は、なぜか私のことが好きらしい。
第1章 プロローグ
一夜限りの遊び事。
ワンナイトラブ。
一晩だけの愛し合う行為、
非日常な空間だからこそ
得られる、背徳的な快感。
それはまるで媚薬のような
甘美な快楽をもたらし、
刺激的な秘め事に
私達は酔いしれる───
……なんて、
どれだけ綺麗な言葉で
言い繕ったところで、
その場限りの
俗悪な性行為であることに
変わりはなくて。
所詮は性欲の
捌け口でしかない
品格を下げる行為でしかない
だから私は
一夜限りの遊びなんて
するつもりもなかったし、
性にだらしのない底辺女に
成り下がるつもりもなかった───
……はず、なのに。
「──……なんで逃げようとするの?」