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主治医との結婚生活

第24章 篠宮家のお嬢様

そうして結局 挿入て貰えないまま…

疼きだけ を 奥に 秘め
私は釈然としない気持ちで 服に着替える。

コレはもう… 治療なんかじゃない。
意地悪(泣)

奏真さんの怒りが冷めるのを
どうにか 凌ぐしかない…

「だいぶ 辛そうだね…」

顎に手を掛け 私の表情を確認し、
奏真さんは 同情の色を見せる。

「奏真先生の 治療を 終える前に
壊れてしまいそう…。」

音を上げる私に 
奏真さんは 慰める様にキスをする。

「もう少し 頑張って?」


奏真さんの言葉に 気を重くする。

本当に… おかしくなりそう…


それから私達は 温泉街を散歩する為に
フロントに立ち寄って 部屋の鍵を預ける。

と、

「こんにちは。 奏真くん。 」

60代くらいの男性が 私達に近づき、
声を掛けてきた。

「ああ! 萩原さん! ご無沙汰しています!
この度は ありがとうございます。」

「いやいや…」


奏真さんの知り合い?
2人は 会話を始めた。

「萩原さん 妻の明花です。」

突然 奏真さんに紹介されて、 
私は慌てて 頭を下げた。

「明花ちゃん、 今回お宿を手配してくれた
萩原さん。父と旧知の間柄なんだ。」

ああ! 成程! 
私はもう1度 丁寧に挨拶をする。

顔を上げると 萩原さんは驚いた顔をして、
マジマジと 私の顔を見た。

「え…っと あの?」

「篠宮 百合子… 様…?」

萩原さんが 呟いた。

シノミヤユリコ… 
それは4年前に亡くなった 祖母の名前。

「…? 祖母を ご存知ですか…?」

「祖母…! ああ 梓(あずさ)様の 
お嬢様ですか?」

「あ… ハイ…。 篠宮梓は 私の母です。」

私が答えると 萩原さんは 
私の手を 突然握って 喜んだ。

「ああ! やっぱり!
百合子様の お若い時に よく似ていらっしゃる! 
そうか…! 奏真くんは 篠宮家のお嬢様と
結婚を…! これはこれは 羨ましい…!」

萩原さんの テンションについていけない。

「羨ましい…?」
私は おうむ返しに 聞いた。

「羨ましいですとも…! 
篠宮百合子様と言えば この土地の者なら 
誰でも1度は恋に落ちたモノです…!
美しくて 気立てが良くて 品があって…
そうそう! この特徴的な 大きな瞳…!
形の良い唇に鼻! 色が白くて… まさに…!」


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