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再婚

第3章 再び

あれから約1ヶ月、特に何事もなく過ぎ、ゴールデンウイークに突入したが、うちの家族はみんな忙しい。親父は仕事にゴルフ。沙耶は、部活に塾。優香は、中学のPTAの集まりや、近所の会合、友人との会食。暇なのは、俺くらいのものだ。俺も、友達と遊ぶ約束はいくつかあったが、その程度しか予定はなかった。

その頃、優香の俺に対する風当たりは、あれ以降弱くなっていた。だからといって、特に有効的になったわけでもなく、事務的に普通に接するようになっただけだった。

優香と二人きりになることもないではなかったが、家にはいても会わずに過ごすことが多かった。

優香は、脱衣所の鍵も、普通に閉めて風呂に入っている。

そんなあるゴールデンウイークの日。親父は例によってゴルフ。沙耶は、朝から友達と買い物らしい。

俺が、起きて朝ご飯を食べようと階段を降りて行くと、親父の声が聞こえた。

「じゃー、行ってくるから!居間のテーブルの上に、ガムテープ置きっぱなしになってるぞ!使ったら、戻しておいてよ!」

親父は意外と几帳面だ!物が置きっぱなしになってるのが気に入らないらしい。

「後で荷造りするから置いてあるの!その後で片付けるから!」

と優香の声が聞こえる。

俺は階段を降りて、食堂へ行きテーブルに着くと、

「沙耶は?」

と聞いた。優香は、

「お友達と買い物らしいわよ!」

と言った。優香は、

「食べたら、洗ってくれる?いろいろ忙しくて…!」

と言うので、俺は、

「自分の食器くらい洗うよ!」

と言うと、

「ありがとう!頼んだわね!」

と優香は言った。最近は、わりと会話もお互いに穏やかだ。

俺は、朝食を食べ終わり、食器を洗うと居間で、テレビを見ていたが、目の前のテーブルの上にあるガムテープが何となく気になる。親父との会話によると、荷造り用に置いてあるらしい。

しばらくして、優香が居間にやって来た。洗濯物を干して来たみたいだ。そして、テーブルの前まで来ると、テーブルを拭き始めた。

俺は、「邪魔なら、何処かへ行っていようか?」

と聞くと、優香は、

「そこにいて良いわよ!大丈夫だから…。」

と言って、テーブルを拭いている。

俺は、テレビから優香に視線を向けると、Tシャツの襟元から見える、胸が視界に入った。

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