
碧と朝陽
第14章 悪夢
ーーーーガチャ、バタンッ
「朝陽!!!!!!!」
急に誰かが部屋に入ってくる。
「碧!?!?」
碧だ。碧が来てくれた。
「ちっ、くそ、勝手に入ってくんじゃねーよ!」
「鍵かけてないのが悪いんだろ、抵抗できない相手家に連れ込みやがって、ふざけてんのはお前の方だろうが」
碧が怒ってる。
見たこともない顔だった。
と、急に空気がビリリリッと強張る。
ぐ、Glare(グレア)………??
自分に向けられたものではなかったが、それでも圧倒されてその場にぺたりと座り込む。
郁人は、碧のGlareにビビったのか大人しくなった。
「ごめん、びっくりしたね、行こう」
クルッと俺の方に向き直り、碧はてきぱきと俺にTシャツを着せて、抱き抱えた。
「あ、碧、、」
うまく言葉が出てこない。
俺が混乱していると、
碧はそのまま俺を郁人の部屋から連れ出した。
郁人は何も言って来なかった。
外に出るとすっかり夜更けだった。
空気はまだ冷たい。
「ごめん。もっと早く気づいてあげられれば。」
碧がぽつりと呟く。
「いや、おれ、碧が来てくれなかったら………」
そう言って怖くなり、言葉に詰まる。
「思い出したくないよね。ごめん。朝陽の家この辺り?」
碧は俺のことをおぶってくれている。
重いからいいよ、と言ったけど碧はきかなかった。
「うん……あそこ曲がってくれ」
「わかった」
碧の声はとても優しかった。
