ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー
第3章 シモンズ・シモーヌ
宇宙港のエントランスホールは広い
人っけが無いためさらに広く思える
「十年前は此処も賑わってたんだよ?
居住区がメインのコロニーだったからね
ロンデニオンやシャングリアより新しいし、続々と移民船団が入港してきたもんさ
今では軍の連絡船が入港してくるか、護衛艦が立ち寄るくらいなものだから、たいてい降りてくるのは軍人ばかりなのさ」
シモンズはつまらなさそうに説明してくれている
それはエントランスから出てきた人間が軍服を着た男たちばかりだったからなのかもしれない
「シモンズさんはロンデニオン出身でしたよね?昔の此処にも来たことがあったんですか?」
「まだハイスクールのとき夏休みの住み込みアルバイトで此処に来てたんだ
人が多かったぶんレジャー施設も多くてね
珍しく川遊びや森林浴、キャンプ場なんかもあったんだよ
当時は氷の小惑星を接岸させていたから水資源も豊富だったからね
ロンデニオンのベッドタウンでもあったし、水資源の保管場所も兼ねてたの
水着で川遊びの案内したときの写真がコロニー新聞に載ったこともあったよ
今のフィルと同じような年頃だから、あのころのわたしならフィルを軽く手玉に取ってただろうよ!」
シモンズは自信ありげに語った
きっと若かりし頃のティーンエイジャーのピークだったのだろう
シモンズの表情は明るかった
「今もシモンズさんは美人なお姉さんですよ」
「だろ?」
シモンズはフィルの片腕をたぐり寄せて身体を密着させてきた
細身で筋肉質な彼女だが、意外と胸のボリュームがあるんだな、とフィルは困惑してしまう
ふたりが腕を絡めながらエントランスから展望ホールのほうへ歩き出すと正面から若い女が挨拶をしてきた
シモンズもええっと?と思い出せずにいるようだ
「隊長さん、隊長さんですよね?トーマスのところの!わたしルイーズです
トーマスさんにはいつもお世話になってます
お仕事は休暇中でしたよね?隊長さんもデートですか?」
二人の前に現れたの今トーマスが夢中になっている商売女ルイーズだった
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