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リバース!(R-18)

第2章 早すぎる再会

…なんでそこまで言われなきゃいけないのよ。

と思うが、顔だけを向けて部屋全体を見ると、黒いものが動くのが見えた。

……げ。

「あ~…とは言ってもねぇ…。暑くてやる気が起きないのよねぇ」
ルーシーがそう言うと、グランがギロリと睨んだ。

「わかったわよ。やるわよ」
諦めたようにのっそりと起き上がる。

「さっさとやれ」

さっきから漂っている悪臭の根源を探してテーブルへ向かうと、いつから置いてあるのかわからない黄色や緑色の混じった牛乳が置いてあった。

…うわぁ。これか。

「もったいないな~…」
言いながら、流しに捨てる。その流しも、食器や食べ残しで溢れていた。

「あっ、そうだ!あんた確か魔導師よね?」
テーブルの上の残飯や鼻をかんだもの、紙ビラなどをごみ袋にポイポイ放り込んだところで、突然思いついたように言った。

「…だから何?」
汗を流しながら傍観していたグランが、いいからやれよとばかりに言った。

「ちょっと氷でも出して、この部屋涼しくしてよ」

「はぁ?」
なんで俺がおまえなんかのために、と言わんばかりの顔をする。明らかに嫌そうだ。

「涼しくなればあたしの片づけるペースも上がるし。何より、あんたもすごい暑いんでしょ?その方が絶対いいと思うんだけど」

ルーシーに良いように使われるのは少し癪だったが、確かにその通りだった。暑さに耐えかねたグランは、仕方なく了承した。

「じゃあそこを早く片づけろ」

「あぁ、はいはい」
ルーシーはのそのそと箒を取り出すと、床を掃き始めた。

なんとかスペースができ、グランが呪文をぶつぶつと唱え出した。と、そこに大きな氷塊が現れる。

「おお~っ!涼しい~!!」
やるわね、とルーシーがグランの背中を叩こうとすると、グランは避けた。

「おまえ汚いだろ。さわるな。ていうか近づくな」
思いきりしかめた顔が、心底嫌なのだということを示している。
ニヤリとしたルーシーが近づき、おもむろにグランの脇をくすぐった。

「へぁっ、はっひゃっひゃっ…ひゃ、ひゃめろ!!」
グランが身をよじりながら叫ぶ。と、それを見たルーシーは指をさして笑い声をあげた。

「あっはっはっは!『ひゃめろ』だってー!ひゃめろ、ひゃめろ…!!」
涙目になりながら腹を抱える。そんなルーシーを見たグランが思いきり顔をしかめた。

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