一夜限りでは終わりたくない
第2章 曖昧な関係
藤堂副社長は私に自分の白いTシャツを手渡した。
そして部屋に付いている専用のシャワールームを使うように案内してくれた。
「スーツで寝るわけにはいかないだろ…裸でも構わないが、必要だろ?」
藤堂副社長は身長が高く180くらいはあるだろう。
当然私が彼のTシャツを着れば長くなる。
太腿途中の長さであるシャツはパジャマ代わりに丁度いいが、ひとつ問題があった。
ブラジャーを外してTシャツを着ると、胸の突先がツンと飛び出し見えてしまうのだ。
私は気づかれぬようベッドに横になり、掛け布団を頭まで被った。
なんだか顔を出しているのも恥ずかしく感じてしまう。
しかし、藤堂副社長はこういう状況に慣れているのか、上半身の服を全部脱ぐと、下着一枚で当たり前のようにベッドに入って来た。
それだけでも心臓がうるさく騒いでいる私へ、さらにノックアウトされるような言葉を言うのだ。
「おい…腕枕してやるから近くにおいで。」
私は恥ずかしさから、フルフルと首を振って断るが、藤堂副社長は強引に私を引き寄せると、自分の腕に私の頭を乗せたのだ。
藤堂副社長の近くによると、香水とシャワーを浴びた石鹸の香りでクラクラするような良い香りがする。
心臓はさらに早くなり、音が聞こえてしまうくらいだった。
とても眠れる気がしない。
「眠れないのか?」